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アニメ制作の手法

アニメ制作の手法

アニメ制作の手法は大きく分けて、「セルアニメ」と「デジタルアニメ」の2つに分けられます。それぞれの手法の概要についてまとめてみました。

 

 

【セルアニメ】

 

セルアニメとは、「セルアニメーション」の略称であり、透明なセルロイドに絵の輪郭を描き、裏面から不透明な絵具で彩色してセル画をつくり、レイヤー的に重ねながら、コマ撮り用のカメラが吊された撮影台で1コマ1コマ撮影して映像にする伝統的な手法のことを言います。

 

かつては多くの劇場アニメーションやテレビアニメで使われた手法で、アニメといえばセルアニメを想像する人も多いのではないでしょうか。セルにパーツ化されたオブジェクトを配置し、製作仕様を統一することで、原画、動画、背景、撮影等、各パートでの同時共同作業が可能で、製作期間の短縮、コストダウン、そして大量生産が可能となり、商業アニメの大半はこの方式で作られるようになりました。アニメーションの制作技法として一時代を築いた伝統的手法のひとつといえます。

 

実際には、セルロイドは燃えやすいため、後にはアセテートが使われるようになりましたが、現場では伝統的に「セル」と呼び続けました。また、パソコンによるデジタルアニメが主流になった現代においても制作工程にこの用語が用いられています。

 

このセルアニメの技術を世界で最初に取り入れたのは、アメリカのジョン・ランドルフ・ブレイと言われ、それは1914年のことでした。ブレイは背景をセル画に描きキャラクターを紙のシートに描きました。さらに同年12月には同じくアメリカのアール・ハードが、後に一般的になった動く絵をセルに描き、動かない背景画などを紙に描く技法を考案しました。ちなみに、セルアニメの特許は、アール・ハードが取っています。

 

日本ではセルロイドが高価なこともあって、セルアニメの導入が遅れました。日本初のセルアニメは、1927年に大藤信郎が製作した影絵アニメ「鯨」の一部で使ったものだとされています。

 

セルアニメは、紙に描かれた絵をセルにトレスする方法で製作しますが、当初は手作業で行われました。それがやがて、トレスマシンに移行し、人件費削減の効果と、原画のタッチが失われないという効果がありました。トレスされたセルは裏返して、アニメカラーと呼ばれる専用塗料で色が塗られました。

 

セルロイドは大変高価だったので、使用済みのセルは、洗っての再利用されることもありました。しかし洗うことでセルには無数の傷が付いたり、薬品のためにシワが出来るため、再利用は3回くらいが限度だったといいます。その後、セルの価格が下がり、手間のかかる「セル洗い」は行われなくなっていきます。

 

ところで、この使用済みセルは制作会社で保管、あるいは焼却・廃棄処分されていました、1970年代末から起こったアニメブーム以降、キャラクターを描いた使用済みセル画の価値がアニメファンに認識され、専門店で販売されたり、ファンイベントの記念品などに提供されたりするようになりました。

 

しかし、透明とは言えセルを重ねることにより発生する色の変化や、ニュートンリングなどによる光学的な変化や、ゴミなどの物理的な問題、撮影前後のフィルムの取り扱いなど色々と問題が有りました。多くのアニメスタジオでは1997年ころからデジタルアニメに移行し、2009年現在でも日本でセル画を使っているテレビアニメは『サザエさん』だけだそうです。

 

ただ、アニメがデジタルワークに移行しているといっても、すべての作業がデジタル化されたというこではなく、制作の入り口である大切な「原画」や「動画」部分では、今もなお「紙と鉛筆」が主流であり、非常に多くのアニメーターやスタッフたちの分業化によって制作が繰り広げられています。

 

 

【デジタルアニメ】

 

【デジタルアニメ】

 

デジタルアニメとは、コンピュータ上で動画のデータを作成したアニメーションのことを言います。具体的には着彩作業、撮影作業、背景画制作などを、アナログ作業からコンピューターを使ったデジタル作業に移行した方法です。日本においては、旧来の手法のセルアニメに代わり、1997年頃から2002年までに、ほぼすべてのアニメがデジタル彩色へと移行しています。

 

ただ、このデジタルへの移行は、そのメリットを生かすために積極的に移行した物ではなく、セル及び顔料製作メーカーの撤退によりしかたなく移行したというマイナス面の方が強いものでした。また、アニメのデジタル化を制作各社が個々に進めてきたため、アナログ時代に確立した業界標準が徐々に崩れてきたり、場合によっては、アナログ時代の用語をそのままデジタル工程に転用して利用していることにより、用語の意味が各社によって微妙に異なる状況も散見されます。さらには、アナログ工程の部分部分をデジタルに置き換えてきたことで、本来理想的なデジタル制作ラインとはかけ離れた非効率な状況が見られることも否定できません。

 

しかし、それでもパソコン機能の目覚しい進歩やアニメソフトの開発などによって、アニメのデジタル化の恩恵は想像以上に大きく、デジタルアニメは今後、ますます発展していくことは間違いありません。

 

たとえば、セルアニメに比べてセルを何枚も重ねることによる明るさの減少が無いことや、コンピュータによるデジタル画像処理を使うので特殊効果を簡単にかけられたり、旧来手法ではほぼ不可能であったようなグラデーションができるという利点があり、また、手作業に比べて遥かに作業効率がよく、色塗りの訂正も簡単なために、量産が効き易く、近年のテレビアニメの本数増加を可能にした大きな要因のひとつだと言われています。

 

アニメのデジタル化への移行において、いち早く定着したのが、彩色作業だと言われています。完成した動画に色付けをしていくわけですが、「RETAS!PR0シリーズ/PaintMan:ペイントマン」などのソフトウェアを使い、指定された色を選択し、枠内に流し込んでいきます。ふで塗りに比べ、遥かに早く彩色が可能ですし、失敗したり、色の変更が生じたとしても、簡単にやり直すことがきでます。

 

彩色の他にも、原画をトレスする作業や、特殊効果、撮影作業なども、パソコン上で行います。しかし、デジタルアニメのすべてがデジタル作業をしているというわけではありません。たとえば、原画や動画など、絵(線画)を描くという作業は、手書きが多いようです。というのは、アニメーターの直感的な部分や、感覚的な部分に起因するために、昔ながらの手書きのほうが描きやすいようです。

 

初期のデジタルアニメは家庭用テレビの特性に合わなかったため、目にちかちかして明るすぎたり、発色に違和感があると言われていましたが、最近は改善されてセルアニメを凌ぐ美しさを持つ作品も見られます。また、従来は使用するためには莫大なコストと時間を必要としていたCG等も、最近はかなり安くなってきており、表現方法の幅が広がるなどメリットは大きくなっています。さらに、デジタル化は、ネットワークを利用しての発注、納品が可能になるなど製作フローも変化させています。


今後、デジタルアニメは、地上波デジタル放送(1440×1080)、BSデジタルハイビジョン(1920× 1080)放送、インターネット等でのH.264を利用した映像配信、そしてBlu-ray Discでの再生を前提としたフルHD1080p1920×10803060F/s)で製作されるアニメーションと、ますます高解像度映像となっていくことでしょう。